自分ごと

年上のお客さんから介護の話を聞いていた頃はどこかで他人事でした。

自分も年を重ねているということは当然のごとく自分の両親や家族も確実に歳をとっているわけです。
そしていつか自分も介護を必要とする人を支える立場になるわけで・・・・


その1~
足腰が弱ってきた高齢の義母は3月にやけどを負ってしまい入院。
滅菌の個室に一人2ヶ月もいると痴呆が進んでしまって、私のことを他界した弟と間違えたり、着替えを手伝おうとする看護師さんの腕に噛み付こうとしたり、ちょっとショッキングな現実を見ることになります。

日々の現場にいる人は私には考えられない大変な毎日だと思いますが、逆にそのお陰で家族や兄妹が団結したり、今まで想像できなかった感動もほんの少し見え隠れするのが救いでもあります。
方位にも吉の意味と凶の意味が表裏一体であるのと同じく・・・


その2~
正月明けから入院していた実家の祖父は大腸がんがみつかり、体力的に手術は難しいだろうということで、3ヵ月半入院生活は終了。日を追うごとに食欲がなくなり、生きる意欲を失っていました。

医者に「4月まではもたないかも・・・・」と言われて、あれもすればよかった、これもしておきべきだったと後悔の念に苛まれました。


離れて住んでいるため日々のケアは出来いないので、何か生きる意義をと考えて・・・・『和牛を一緒に飼おうプロジェクト』を勝手に考えて、祖父が飼っていた昔懐かしい和牛の写真や農協からの融資に関する資料を取り揃えて

「牛飼いのノウハウを孫に伝授するまではご先祖様は迎えにこれません」

という手紙付きで母に病室に持参してもらっていました。


その後、「農協の金利は何パーセントか?」「川沿いの草地はまだ牧草に適しているか?」など、ほんの少しだけですが何かしら自分のやらなければならないことと思ったらしく、毎日牛を買って孫と一儲けする話を看護師さんにするようになりました。


病院にいる理由もなくなったので、GW明けに退院して自宅療養。
日に2回訪問介護のヘルパーさんに来ていただいています。

病院では点滴ばかりで、いったい今日が何曜日なのか、朝なのか昼なのか?すらわからないウツラうつらした生活から、なんと今では朝昼晩普通に完食する毎日に変わり元気になりました。

やっぱり自分の家が一番。
元の環境に戻ると自分を取り戻せることが多いと聞きます。

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数年後は自分が両親を介護しなければならない当事者になる番かも?と思っていた矢先に、もらったこの冊子『あなたの家に帰ろう』にはちょっと救われる思いでした。

長く生きることだけが良いことではなくて、どう生きたか?、そしてどういう最後にしたいかを選択できる生き方について考えると、良かれと思ってやった自分の行為がもしかすると余計なお世話になってしまったかも?と思ってしまったり・・・・初体験は試行錯誤が山積みです。