なんとなく、寂しい週末

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事務所の裏山を越えた小さな駅の近くに小汚い中華料理屋がありました。
夕方~深夜までの営業で、曜日に関係なくいつでも混んでいる店で、時間帯によってサラーリーマンの仕事帰りやスポーツ新聞を片手に麺をすする職業不明のオッサン、常連らしき近所の飲み屋のママさんとお客さんが飲んだ後の小腹を満たしに立ち寄る姿などはまさに漫画の「人間交差点」。
ひげを生やした一見ヤーサン風の大柄のマスターが看板のような人で、入れ替わりやって来るお客さんをタバコを吸いながら捌く姿は微笑ましく、混んでくると当たり前の様に合い席になり、全く毛色の違うお客同士がなんとなく仲良くなってビールを注ぎあったり、人の往来がある立地の中でそこだけが30年前にタイムスリップしている感じの場所でした。

そしてこの店の醍醐味は、野菜やらなにやらとにかく色んなものが入ってグツグツ煮立っている寸胴なべの前で、時折タバコを吸いながら麺が茹で上がるのを待つコックの料理捌きをカウンターから見るのがとても楽しみで、深夜に一人で来たりしていました。
とにかくこの得体の知れないスープをベースに作られる、ごくありふれた中華メニューは本気で旨かった・・・・なんかイケナイ粉とか入ってたのかな?

数年前、突然このお店が立ち退きでなくなってしまいました。
噂で駅の反対側の路地裏に開店したと聞いてましたがいつもシャッターが半開きで開店休業状態。
それから2年近く経ってやっと行き着くことができました。
やっぱり、その日も店の外まで待ちの人がいます。
先に瓶ビールをもらって店先で一杯やろうとしたところで入れ替わりがあり店内へ。
もちろん合席で、年配男女の隣へ案内されました。

レバ刺しだけは健在でしたが、あのレトロな雰囲気と怪しさは全くなくなり、お客さん捌きのプロだったマスターが鍋をふり料理のテイストもすっかり変わっていました。


なんとなく、自分の気持ちは36歳のままで停止して、周りだけが歳を重ねているかのような気がして、
なんとなく、自分だけはいくつになっても枯れず現役でいられる気がしていて、
なんとなく、祖父母や両親や姉妹も少しづつ歳はとるけど、ず~と生きている気がして、

でも、当たり前ですが、日々いろいろ変わってしまいます。

現実を見てしまって、ちょっと寂しい気分の週末です。