秋の夜長の読書

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夏にAmazonで目に留まって買ってはみたけど、なかなか進まなかったこの本(「終わらざる夏/浅田次郎 著/集英社文庫」)。


Amazonの読者レヴューにはこんな投稿がありました。
 
歴史に疎いのと、東北の方言、旧仮名遣いにアイヌ独特の地名に悪戦苦闘。頭がそれらをなかなか受け入れてくれず、久々に挫折するかと思ったがなんとか上巻読破。ただしきちんと理解&把握できているかは謎のまま下巻へ(^=^;
きっと現実はこの作品よりも悲惨な状況だったんだろうな。戦争を実際に知らないので想像もつきそうにない。


主人公の出身舞台が戦時中の盛岡なので、郷里の方言や地理的なことが容易に理解できた分、他の方よりもスムースに入れたと思います。
そして、この本を手にした最大の理由は・・・戦地が南方ではなく北方領土の島々『幌筵島(ほろむしろとう)』と『占守島(しゅむしゅとう)』を舞台にしていること。
昨年、他界した祖父は戦時中、通信兵として、この幌筵島の部隊で島を守っていました。
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祖父の病床で会話が途切れると、私はいつも戦時中のこの島でのことを何度となく質問しました。
時間と共に様々な事がぼけていく祖父でしたが、この戦地の事に関しては何度聞いても正確に話してくれました。

弘前の司令部から知床半島を径由して何日もかけて潜水艦に恐れながら輸送船で島伝いに移動したこと、終戦間際には米軍の艦隊に島を包囲されて食糧難に陥り釣り道具を自作して漁をしてしのいだこと、銃撃に晒されながら切れた通信線を島内に張り巡らせたこと、雪が積もったとある日、米軍の艦砲射撃で小隊が一瞬で全滅して一番後ろにいた祖父だけが奇跡的に助かったこと、塹壕で独り通信中に名前を呼ばれ振り返ると沖縄の激戦地にいるはずの兄の姿が一瞬見えて、その後、沖縄が陥落したことを無線で傍受したこと・・・


終戦後に旧ソ連がこの島に進行してきたため、長期にわたって・・・おそらく政治的な理由から・・・最近まで日本側も公式には認めていなかった「停戦後の戦闘」がこの付近の島々で行われ、歴史上の事実が黙殺されようとしていた事実があります。

戦争終結以降のドサクサに紛れて、侵略行為を続行した旧ソ連
ロスケ(ロシアの野郎:祖父は侮蔑の意味を含めて旧ソ連をそう呼んでいました)の侵攻の速さを考えると、対米侵略戦用に占守島に駐屯していた日本軍最強の戦車部隊の善戦がなければ、もしかしたら北海道も旧ソ連邦領土になっていたかもしれません。

そして、アイヌの聖地とも呼ばれる日本の世界遺産知床半島』はロシアの世界遺産になっていたかもしれないのです。

  

※ところで・・・Amazonで決済後に表示される、「関連してこんな本もあります・・・」でつい、毎回追加購入してしまうのは私だけでしょうか?