「このお子さんは、今は内向的でとても消極的に見えると思いますが、大人になると驚くほど変わりますから安心してください」
何年も前に私が電話で伝えたことだそうです。
人見知りが強く、周囲の子供と比べると明らかに消極的なお子さんの将来を心配して相談の電話をしたのですが、たまたま先生が休みで、少しの間、私とたわいのない世間話をしたということでした。
そのお母さんからお子さんのその後の様子を知らせてくれました。
拝啓 番頭様
昔の話ですので覚えていないと思いますが、一度、娘のことでお電話を差し上げたことがあります。
小さな頃は人見知りがとても強く、幼稚園へ送っていく朝は毎日が娘の涙との戦いでした。
教室に入らず、それを見かねた園長先生が園長室で一緒にお昼を食べて、帰りまで園長室でひとりで絵を書いていたことも一度や二度ではありません。
小学生の頃も運動会のダンスや勉強にについていけなかったり、朝になるとお腹が痛くなり集団登校の時間に間に合うことは稀でした。
これから先、この子は大丈夫なんだろうか?と娘の将来を案じていました。
(中略)
お陰様で、そんな子も成人して無事に大学を卒業し、4月からは社会人として満員電車にすし詰めになりながら元気に通勤しています。
その娘がたまの休みに通うところがあります。
中学の時の同級生の自宅です。
その友達は高校時代にいじめが原因で不登校になり、それから7年余り自宅にひきこもっているようです。
娘がその子を心配して訪問する約束をとっても、最初の頃はたいていはドタキャンされて会えるのは5回の約束のうちに1回あるかどうかでした。
極度に他人を恐れるその友達は電車に乗ることもできないようです。
そんな友達を思い、二人だけの車でドライブなら大丈夫だろうと友達に提案し、娘は自動車学校に通うことを決意します。
大学はそっちのけで必死にバイトをし、驚くような速さで車の免許を取っ後はカーシェアリングサービスに登録して、レンタカーを借りてその友達の家へ迎えに行っていました。
でも10回ほどレンタカーで迎えに行って部屋から出てきてくれたのはたったの1回だけです。
「ごめんね、今日は気分がのらないから」
「ごめんね、今日は誰にも会いたくないから」
娘がその子の家の前についたことを知らせた時に、帰ってくるメッセージです。
娘を不憫に思い、なぜそこまでして、その友達に関わるのか?を訪ねてみました。
実は中学生の頃、テニス部に在籍していた娘は、運動神経があまりよくなく下手くそで、誰もペアになりたがる友達がいなかったのです。当然です、娘とペアを組んだら試合で勝てる見込みはないのですから。
顧問の先生が技量で上から順にペアの発表をすると一番最後に告げられる娘とペアになった子は落胆し、徐々に他の部員も口もきかなくなったようでした。娘は部活で完全に孤立して、いつも暗い表情でした。
そんな時に、一番上手かった子が周囲のそんな排他的なムードを一切気にせずに娘と会話して、ペアを組んでくれる子がいない時は、彼女が迷わずペアになって友達として接してくれたようです。
「とても辛かったあの時に助けてくれたから、今度は私が彼女を助ける番なんだ」
そうなのです。娘を助けてくれたあの子が、引きこもってしまった子なのです。
周囲の友達が徐々に離れていく中で、娘は何度約束を破られようとも気分を害することなく、友達として今も付き合っています。
出来は決してよくはありませんが、こんなにしっかりした子になってくれて本当に嬉しく思います。
(後略)
昔の話ですので覚えていないと思いますが、一度、娘のことでお電話を差し上げたことがあります。
小さな頃は人見知りがとても強く、幼稚園へ送っていく朝は毎日が娘の涙との戦いでした。
教室に入らず、それを見かねた園長先生が園長室で一緒にお昼を食べて、帰りまで園長室でひとりで絵を書いていたことも一度や二度ではありません。
小学生の頃も運動会のダンスや勉強にについていけなかったり、朝になるとお腹が痛くなり集団登校の時間に間に合うことは稀でした。
これから先、この子は大丈夫なんだろうか?と娘の将来を案じていました。
(中略)
お陰様で、そんな子も成人して無事に大学を卒業し、4月からは社会人として満員電車にすし詰めになりながら元気に通勤しています。
その娘がたまの休みに通うところがあります。
中学の時の同級生の自宅です。
その友達は高校時代にいじめが原因で不登校になり、それから7年余り自宅にひきこもっているようです。
娘がその子を心配して訪問する約束をとっても、最初の頃はたいていはドタキャンされて会えるのは5回の約束のうちに1回あるかどうかでした。
極度に他人を恐れるその友達は電車に乗ることもできないようです。
そんな友達を思い、二人だけの車でドライブなら大丈夫だろうと友達に提案し、娘は自動車学校に通うことを決意します。
大学はそっちのけで必死にバイトをし、驚くような速さで車の免許を取っ後はカーシェアリングサービスに登録して、レンタカーを借りてその友達の家へ迎えに行っていました。
でも10回ほどレンタカーで迎えに行って部屋から出てきてくれたのはたったの1回だけです。
「ごめんね、今日は気分がのらないから」
「ごめんね、今日は誰にも会いたくないから」
娘がその子の家の前についたことを知らせた時に、帰ってくるメッセージです。
娘を不憫に思い、なぜそこまでして、その友達に関わるのか?を訪ねてみました。
実は中学生の頃、テニス部に在籍していた娘は、運動神経があまりよくなく下手くそで、誰もペアになりたがる友達がいなかったのです。当然です、娘とペアを組んだら試合で勝てる見込みはないのですから。
顧問の先生が技量で上から順にペアの発表をすると一番最後に告げられる娘とペアになった子は落胆し、徐々に他の部員も口もきかなくなったようでした。娘は部活で完全に孤立して、いつも暗い表情でした。
そんな時に、一番上手かった子が周囲のそんな排他的なムードを一切気にせずに娘と会話して、ペアを組んでくれる子がいない時は、彼女が迷わずペアになって友達として接してくれたようです。
「とても辛かったあの時に助けてくれたから、今度は私が彼女を助ける番なんだ」
そうなのです。娘を助けてくれたあの子が、引きこもってしまった子なのです。
周囲の友達が徐々に離れていく中で、娘は何度約束を破られようとも気分を害することなく、友達として今も付き合っています。
出来は決してよくはありませんが、こんなにしっかりした子になってくれて本当に嬉しく思います。
(後略)
逆に私の場合は子供の頃は超攻撃型、でも歳をとると守備型のただのおっさん。
幼少期は農村の神童と噂された私も、今ではすっかり恐妻帝国の支配下で裸の王様。
こんな状況を知ったら、「昔はこんなじゃなかったのに・・・・」と母上も嘆くことでしょう。
幼少期からの変遷予想を知っておくと、時に心の支えになるようです。