『番頭劇場』・・・・・いわゆる番頭が勝手に妄想する、事実無根のフィクションがこのように呼ばれています。
↑ここまでは、本当のお話です。
零細企業の定めと言いましょうか・・・・とても悲しい現実があります。
最近、私はこんな夢を見ました。
「この本が売れなかったら来月の給料は本の現物支給だ!」
台町の女優さんの元に届いたのは500冊余りの書籍~運活BOOK 2021。
全部売れなかったら給料と相殺だというのです。
必死に書籍をアピールする女優さんの姿に私は『マッチ売りの少女』を重ねてしまうのです。
ある寒い夜、ひとりのおばさんが路上で本を売っていました。スチール籠のすべての本を売らないと社長が給料を払ってくれないため、寒空の下、ストールを巻いて佇んでいますが、土用時期のため、人々の気持ちも殺伐として見向きもされません。
「本は要りませんか?」
「運が上がる本はどうですか?」
だんだんと夜が更け、寒さが増してきます。横浜のチベットと呼ばれ1日の乗降客が500人にも満たないJRの小さな駅前です。
呼び声に反応するのは酔っ払いのオジサンばかりです。
「いくらなんだ?」
「はい1,400円です」
「なんだ、お姉ちゃんが1,400円なら安いな。じゃ~買うわ」
と絡まれる始末。
耐えられらなくなった彼女は少しでも暖をとろうと本に火をつけると、灯かりのなかにあたたかい熱燗や酒にピッタリのつまみが現れます。
「お酒が飲みたい・・・・」
喜びも束の間、本の火が消えるとともに、その幻も消えてしまいました。
あまりにも悲しくなって、ふと彼女が空を見上げると、流れ星を見つけます。
亡くなった祖母が「流れ星は誰かの希望が消える象徴」と言っていたことを思い出しました。祖母は彼女をかわいがってくれた唯一の存在だったのです。
次の本に火をつけると、そこに祖母の幻が現れます。
「おばあちゃん、もう私、無理!群馬に連れてって!」
この火が消えてしまうと、祖母も消えてしまう。そう恐れた彼女は、持っていたすべての運活BOOK 2021に火をつけました。
その火はとても明るく光りましたが、そこにやってきたのは優しい祖母ではなく交番のおまわりさんでした。駅前の公道で焚火をした罪で群馬ではなく警察所に連行されてしまったのです。
皆さん、どうか台町の女優さんの給料を守ってあげてください。
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