女房と畳は・・・・

みなとみらい地区にそびえ立つとあるホテルでのフレンチ。
店構えだけは有名なホテルなので一流です。

お世話になった人との約束で1年越しで、やっと、ご飯をごちする約束を果たした日のことでした。

インターネットで予約の際に選択項目の中にあったひとつ・・・・「今回のご予約の主な目的は何でしょうか?」

選択肢には、誕生日、結婚記念日、就職祝い、などたくさんの選択項目が表示されていました。
最後のほうに目についた項目・・・・

「プロポーズ」

決してプロポーズではないのですが、いったいどんなサービスがあるのだろうか?、といたずら心でこの項目を選択しました。



そんなことをすっかり忘れていた当日・・・・・・



トイレから戻るときにフロアマネージャーらしき中年の男性と若い従業員との会話を耳にしました。

「A7の席はプロポーズなのでタイミングを見計らって出してね、くれぐれも遅れないようにね」

いつ、お客さんの私から合図があるのだろうか?と、メインの料理が終わった頃から後ろのほうで、ボーイさんがそわそわ。
でもプロポーズはしないので合図なんてありません。

デザートのオーダーの際に「当店からの○△☆をご用意しておりますがお持ちしてよろしいでしょうか?」と。

お^きたきた!



しかしこの会話を聞いていたのは私一人ではなかったのです・・・・

柱を隔てた席にはなんと・・・・近所に住む自治会長さんご夫妻が。

どうやら、ワゴンに載せたスペシャルデザートに興味津々だった奥様がボーイさんに聞いてしまった様なのです。

「はい、こちらはフランス語で『永遠の愛を』という意味になります」と。
「私もこんなプロポーズされてみたかったわ~」

その時、まさか奥の席にこのお二人がいるとは知る由もありませんでした。


先に会計を済ませた自治会長さんのご主人がそっと私に近づいてきて
「ま、女房と畳はなんとかって言うからね・・・・羨ましいよ」
ポンポンと私の腕をたたいて出て行きました。

・・・・・・唖然


おいしいものを食べた時のとても大事なことは、その時の雰囲気や味覚の満足とその後に繰り広げられるかも知れないムフフなことへの期待感や想像力ではないかと思うのです。

結局、いまだに、そのフレンチで何がおいしかったか?おいしくなかったのか?思い出せません。


そして、週末の地域清掃で今まで親しく話しかけてくれた自治会長の奥様はと言うと・・・・
あの時以来、話はおろか目も合わせてくれなくなりました。

また、私のコミュニティーは狭くなったようです。